歴史を振り返るのはこれぐらいにして、お待ちかねの作品をご紹介しましょう。作句は石川えりさん。コメントは川柳ひろば管理人・森川博己と石川さんの共作です。
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難民への食事の提供 |
マザー・テレサの逸話を思い出しました。インドの小さな子どもが、誕生日にもらうプレゼントの代わりにお金が欲しいと親に頼み、それを袋に入れて、「マザーの働きに使って」と渡したそうです。困った人の希望に応えるのはだれか。公的な組織の対応が不十分だと言い募るだけでなく、自分自身は何をしてきたかと考えさせられます。
ひ=貧困が連鎖していく子どもにも
JARでは親御さんから困窮状態を主にヒアリングしますが、小さいお子さん、場合によっては小学生、中学生を抱えておられる時に、JARからの支援で月々生きていかれるのか、とても不安になります。実際に修学旅行のお金がない、レコーダーが買えない等のお話を聞くと、この子どもたちの将来がどうなっていくのか、とても気になります。
ふ=増えていく難民申請次々と
日本での難民申請者の数はこの数年うなぎ昇りで、毎年五百人、千人単位で増加しています。予算の制限から、役所はこの動きに併せて人員を増やせないようであり、結果判断の手続きを必要以上に簡略化したりスピーディーにする案も出ていますが、それによりたとえわずかでも、保護されるべき人が保護されない事態を招かないようにすべきです。
難民の子ども |
保護措置というのは、「難民認定申請者のうち生活に困窮するものに対する公的支援」のことで、具体的には「生活費(一定額)、住居費(一定限度での家賃補助等)その他の保護費の支給及び当面の居所を自力で確保できない者に対する難民認定申請者緊急宿泊施設の提供など」のことです。当然ながら予算枠が限定的なものである限り、申請者が増えることに反比例する形で、一人あたりの実質的措置内容が縮小することになります。最近の統計によると2015年3月末の保護費受給者は160人と、2011年の357人に比べて半分と、劇的に減少しています。一方で難民申請者は5000人で、なかには9年以上結果を待っている人がいることも明らかになっています。難民申請者の就労を制限する動きもあり、これ以上生活が追い詰められることがあってはならないと思います。
ほ=「本当の難民」 なんかやな響き
「本当の難民」という言葉の背後には、実際には「ウソの難民」が多いのだから、難民認定判断をする際には、申請者が言っていることを疑ってかかろうとする心理が垣間見えます。申請者は被疑者であり、犯罪人と疑ってかかり、自ら十分に無罪を立証した時だけ「難民」と認めてやろうという姿勢です。この意識が変わらない限り、日本の難民認定数が適切な数値になる日は来ないようにも思えます。
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