2014年6月3日火曜日

新・川柳の作り方(その一)

第一生命が1987年から毎年行っている催しに「サラリーマン川柳コンクール」があります。年間応募作品数は三万句を超える(2013年度)というのですから、人気のほどがわかります。過去の入選作には「まだ寝てる帰ってみればもう寝てる」(第5回<1991年>第一位)、「『課長いる?』返ったこたえは『いりません』」(第17回<2003年>第一位)など、落語家が借用する句もあります。今回はこの『サラリーマン川柳 さんのせん 傑作選』(選=やくみつる+島田駱舟+第一生命、NHK出版、2013年)114~21頁の「作句心得帳」(島田駱舟執筆)を参考に、川柳作成のツボをお分かちします。

読むだけでなく作ることで面白味がまし、満足感を味わえるのが川柳です。ストレスや憤りも抑制のきいたユーモアで十七音字に示せた瞬間、それが減退すると言います。材料はどこにでもころがっています。「おや?」「えっ!」「まさか!」「なるほど!」「なんか変」と感じたときは即座にメモ、時間があるとき五七五にまとめる、この習慣化が川柳産出のコツのようです。たとえばこうです。新聞でオスプレイという言葉がやたらに目につく。「プレイ」はスポーツやゲームでよく使うな。軍用機とスポーツを併せたらどうだろう?……その一つの作品化が「オスプレイなんの競技と孫が聞き」。とぼけた味が出てます。

柳名(ペンネーム)について一言。柳名なしだと内容がわからない作品があります。しかし、川柳は本来、作品だけで鑑賞するものですので、柳名とセットでは作品を考えないようにしてください。また、柳名を用いる場合も、短めのほうが作品を際立たせる効果があることを忘れないようにしましょう。

川柳のメリットをご存知ですか。五七五の定型に収める作業は、脳トレになるんですよ。私のメル友に小学校の恩師(70代)がいて、「あんたとメールやってるとボケへんかも」と勝手な事をおっしゃいます。実はこういう方にこそ川柳を勧めたい。字あまりのない句を産み出す努力=脳トレですが、じっさい、定型に収まったほうがリズム感がよいのです。たとえば、「七五三主役は母で子が付き添い」(下句が六音)よりも「七五三主役は母で子は付録」(下句が五音)のほうが全体に引き締まり、流れもスッキリします。

言葉遊びやダジャレも川柳につきものですが、この場合も、単に発音が似ているだけで取り上げるのではなく、意味がスッと通じて、もとの言葉との対比や関係が鮮やか、思わず膝を叩きたくなるようなものが理想的です。読者に膝を叩かせる洒落を考え、それを定型文に盛り込む作業は高度な脳トレになりますし、その分、達成感・満足度を高めます。

説明はこの辺にします。そろそろ、あなたも川柳ひろばに足を踏み入れませんか。

【関連リンク】
*川柳ひろば投稿要領

*【まとめ】川柳の作り方



◆ 「川柳ひろば」の投稿先: JELA「川柳ひろば」係
 住所:150-0013 渋谷区恵比寿1-20-26  日本福音ルーテル社団
 FAX:03-3447-1523
  E-mail: jela@jela.or.jp 

0 件のコメント: