2014年12月26日金曜日

【川柳ひろば】 ユーモラスな作品特集/川柳ひろばが向かう新たな道

20144月の川柳ひろば発足から第二回分の投稿を締め切った10月末までにいただいた420句あまりのなかで、管理人の目から見て、ユーモラスで味のある作品をご紹介します。コメントはすべて管理人がつけました。作句意図を誤解している場合は、どうかご容赦ください。コメントに対するコメントメールは大歓迎です。

  神様にメールで寿命聞いてみる
 神に聞きたいことは多々あるでしょうが、「メール」でという発想がユニークです。ちなみに、聞くのは自分の寿命ですよね。永遠の存在である神様の寿命を聞いても意味がないのですが、何回も読んでいるうちに、ひょっとして、と疑問が湧いてきました。そういう微妙さがあるのが、この作品のおもしろさでしょうか。

  愚痴ばかり聴くストレスを聞くペット
 このペット、人間の言葉が理解できなくて(?)よかったのでは。全部わかれば胃潰瘍になるやもしれません。そうなる前に家出もあり得ますね。飼い主はご注意ください。

  リラックス貯めて心の黒字かな
 リラックスを「貯める」と「心の黒字」になるという表現が秀逸。この句から、俳優の阿部寛が昔テレビで演じていた、「未来」(あるいは「時間」)を貯金できますかと銀行の窓口で訊ねるCMを思い出しました。このCMの内容をおぼえていらっしゃる方、教えていただけると嬉しいです。

  「君が代」はモンゴルの歌?孫が訊き
 大相撲千秋楽の表彰式の国家斉唱で『君が代』が流れるのに、優勝を讃えられるのは白鵬、日馬富士、鶴竜……とモンゴル出身の力士ばかり。オリンピックと異なるこの珍現象を、相撲ファンの幼児は悩んでいることでしょう。

  天国もやはりあるのか付き合いが
 職場や家庭、はたまた教会での人間関係で神経をすり減らしておられるようですね。ご安心ください! 天国で付き合いに悩む暇はありません。そこは、ひたすら神様を賛美する、真の喜びにあふれた世界のはずですから。

  礼拝で川柳浮かびうろたえる
 川柳づくりに明け暮れているとこうなるのですね。その熱心さと姿勢には学ぶべきものがありますが、礼拝は神をたたえることに集中できるよう、祈りつつ臨みましょう。

  エレベータこの人とだけ?不安顔
 よくわかります。私もエレベータで女性と二人きりになった時は、普段以上に柔和さと実直さを前面に出して、「けっして怪しいモノではございません」という顔を作るようにしています。

  「コオロギだ」「スズムシでしょ」に音色止む
 周りがうるさいので虫の声が止むのか、自分のアイデンティティを間違えられて嫌になって鳴き止むのか、あるいは何か不安を感じているのか、よくはわかりませんが、困惑している虫の様子が目に浮かぶ句です。

いかがでしたでしょうか。来年もこれらに劣らぬ、頬がゆるむような作品をどしどし送っていただき、みんなで楽しみませんか。

◇◇◇

最後に真面目な話。「川柳ひろば」はこれまでの延長線上で広がっていくのもよいのですが、もう一つの方向として、川柳を積極的に授業や父母との交信に取り入れている小学校や中学校と交流できないかと考えています。この思いは、以下の本を読んでますます強くなりました。
日野進・編著『川柳のある教室』 (子どもの未来社、2014年7月)

川柳での交流を通して親しくなった学校の子どもたちやご家族が、JELAが支援するアジアやブラジルの貧しい子どもたちと人間的に交流するお手伝いができれば素晴らしいことです。子どもたちがお小遣いを貯めて、JELAの世界の子ども支援活動をクラスや家族ぐるみで支援するという、胸躍る展開も夢ではないかもしれません。

ということで、来年は小さな子供や青少年のひろば参入に力を入れるつもりです。それを後押しするために、十代以下の投句者には「ヤング初回登場賞」をプレゼントします。皆さんのお子さん、お孫さんにもぜひ投句を奨励していただけると幸いです。また、川柳を積極的に活用している学校をご存知でしたら、どうかご紹介ください。


川柳ひろば管理人(森川博己)

◆「川柳ひろば」の投稿先:
   日本福音ルーテル社団(JELA)「川柳ひろば」係
   住所:150-0013 渋谷区恵比寿1-20-26 
   FAX:03-3447-1523
   E-mail: jela@jela.or.jp 皆様のご応募をお待ちしています。

【関連リンク】

2014年12月16日火曜日

【川柳ひろば】年末・年始にちなんだ作品(第二回川柳ひろば応募作から)

第二回の応募作品の中から年末・年始にちなんだものをご紹介します。選出とコメントはすべて管理人。コメントに対する作者や作者以外の方からのコメント、大歓迎です(morikawa@jela.or.jpまで)。管理人コメントには、読みの浅さに起因する内容の取り違えがあるかと存じます。作者の皆様、この点についてはご容赦くださいますようお願い申し上げます。※右の図番は、今年のJELAのクリスマスカードです。図はJELAホールのステンドグラスの一つを使用しています。

◇◇◇


  社会鍋支える人も弱き人
 毎年この時期に、街頭で社会鍋募金をお手伝いさせて頂いていますが、募金して頂ける方は、立派な身なりの方々よりも、一見みすぼらしいと思われる方や障害者の方々が多く見られるのが現状です。貧しい者は貧しい故に分かち合い、真の神の愛に添って暮らしています。注:この句のコメントのみ、投句者ご自身のものです。

  「歌合戦」あれど年々楽しめず
 楽しめない理由が明瞭でないのが気になります。理由が年齢による歌の好悪と関係あるなら、「『歌合戦』楽しめないのは歳(とし)のせい」にするのはどうでしょう。これでも、さらにヒネリを利かせたい気もします。ちなみに、紅白歌合戦の途中でチャネルを変えようとすると、私のワイフ(アメリカ人ですが、日本生活のほうが長いです)はご機嫌斜めになります。そして、紅白は日本のイマを知る貴重な情報源、ジャニーズ系が好きなだけではないのよ、と自己弁護するのでした。

  百八つ過ぎてまだ打つ除夜の鐘
 「百八つ」=「除夜の鐘」ですから、同語反復ですね。十七音に同じ意味の言葉は避けるのが常道です。どう変えるか。たとえば、計算にうとい僧が鐘を打っているのだろうと揶揄する感じで、「百八つ過ぎてまだ打つ 文系僧?」はどうでしょう。作りすぎもいけませんが。

  仏教徒今日だけ浮気クリスマス
 日本におけるクリスマス普及の広がりがわかる句ですね。キリスト教的に分類すると、エキュメニカル川柳と言えなくもない。ところで私は、この句を目にした瞬間、次の民謡が耳に響きました。♪土佐の高知の はりまや橋で 坊さんカンザシ 買うを見た ハア ヨサコイ、ヨサコイ♪ この歌詞は、出家という聖別された世界の存在が、世俗世界の女性の装身具を購入してどうするの、という着目点がおもしろいのでしょうね。詳しい方、教えてください。

  降誕日ケーキは一日あとで買い
 クリスマスにみんなで食べてこそクリスマスケーキなのに、売れ残って安くなるのを待って26日に買う。斬新な切り口もなく、工夫の跡もみられませんが、管理人の作品ということでご容赦ください。じっくり考えると、落選して当然の句ですね。

  見合わない粗品の価値と電車賃
 「歳末大売り出し」の粗品として解釈して取り上げましたが、一般的にも通用する内容ですね。立川志の輔が、スーパーの景品(ハンドタオル)欲しさに無駄な買い物をする妻と、それを非難する夫とのやりとりを、『ハンドタオル』という新作落語に仕立てています。全編大爆笑の傑作です。まだの方は年末年始に楽しまれてはいかがでしょう。

  煙突を潜るサンタのダイエット
 太ったサンタが煙突を上り下りしている姿が目に浮かびました。とぼけていながら、インパクトのある作品だと思います。

  のんびりと街へ師走を浴びに行く
 年末を主題とした作品で私が最も気にいった句です。忙しい師走という通念に反して、「のんびり」という言葉で始まるのがいいし、お風呂でも浴びるように「師走を浴びる」という表現が風流で魅力的です。ちなみに私は若い頃、大晦日になると毎年のように繁華街に繰り出していましたが、還暦を迎える前あたりから、家で過ごすようになりました。ソファーに座っているほうが今の私は「のんびり」するようです。

◇◇◇

この一年のご協力に感謝いたします。来年も精進を重ねてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。メリー・クリスマス、そしてよいお年を!
川柳ひろば管理人

森川博己


◆「川柳ひろば」の投稿先:
   日本福音ルーテル社団(JELA)「川柳ひろば」係
   住所:150-0013 渋谷区恵比寿1-20-26 
   FAX:03-3447-1523
   E-mail: jela@jela.or.jp 皆様のご応募をお待ちしています。

【関連リンク】

2014年12月15日月曜日

【川柳ひろば】特別賞の設置と受賞者/第二回応募作から福音川柳の紹介

川柳ひろばでは、選者による優秀作品の選出とは別に、管理人が独自に賞を設け、表彰することとします。多数設けるつもりでしたが、検討過程でちょっとした問題が見つかり、当面は以下の二つの賞のみとします。二番目は投句時の年齢が関係しますので、ご自分が受賞対象と思われる方は、作品送付時に年齢もお知らせください。

1.年間最多投句賞
その年(112月)に最も多くの投句をしてくださった方に差し上げます。

2.シルバーエイジ初登場賞
年齢70歳以上で投句してくださった方に、お一人につき一回だけ差し上げます。

2014年の最多投句賞は、羊野さんぽさん(年間投句数=数え切れません)に差し上げました。まだ12月末日になっていないのに差し上げたのは、今からどんなに頑張っても、この投句数を打ち負かすことは不可能、当選確実と判断したためです。おめでとうございます!

シルバーエイジ初登場賞は、三名の方に差し上げました。今後も新たな対象者が出現するごとに差し上げますので、ふるってご応募ください。

◇◇◇

ところで、川柳ひろば自身も、投句者から以下の表彰状をいただきました。ありがとうございます。

また、次のようなコメントを寄せてくださった方もいらっしゃいます。
― 教会で『JELA News』が配布され、各方面での活躍記事を拝読し、たくさんの感動や共感を与えていただいていました。しかし、なかなか自分が参加することのない場であるとも思っていました。しかし、この「川柳ひろば」が登場して、『JELA News』がもっと身近な存在に思えるようになりました。73才(10月で74才)にして初挑戦です。老いていく目で、自分のキリスト者としての生き方を、川柳を通してみつめていきたいと考え始めました。(JELC東京池袋教会員の女性)

◇◇◇

キリスト者としての生き方を反省するのに役立つ句を、第二回川柳ひろば応募作品から、いくつかご紹介します。真面目なものを中心に選びました。選出もコメントも管理人によります。

  「ごめんなさい」相手に言えず神に言い
  相手に謝るのは難しいものです。プライドがあるからでしょうか。でも、聖書は当事者とも和解せよ、と言っています。
  主が共にいればどこでも天の国
  偉い師匠がそろった宴席で新人落語家が座る場所に迷っていた時、「速くどこでも座れ! お前の座ったところが下座だ!」と名人から声が飛んだ逸話を思い出します。
  腹が立つけどこの人も主は愛す
  嫌なこと感謝でとらえ糧にする
  深呼吸自分吐き出しイエス吸う
  無駄遣いお金といのち使わねば
  ちょっとわかりにくい。「金いのち使わないのは無駄遣い」で心もちよくなりますが、本来は「(神様が愛しておられる、弱い立場にある)人を助けるという目的でお金やいのちを使わなければ、何に使っても使わなくても、それは無駄遣い」と言いたいのでしょうね。川柳になります?
  神の愛イエス死すほど不公平
  大きな災害があるたびに、「神がいるならなぜ」という声がするのですが、神様は2千年前にひとりごイエス・キリストを、何の罪もないのに私たち一人ひとりのために十字架につけて、私たちの罪を贖ってくださったのです。信仰者はこの事実を忘れてはいけないと思います。
  イエス様どの讃美歌が好きですか
  ふつうは愛唱讃美歌とか言って、人間の視点から讃美歌を見ているのに、神は(人間が作った)讃美歌をどう見ておられるのか、とこの句は問いかけてきます。単純ながら深いです。
  神以外良くも悪くもみな変わる
  出来ること減る年波に恵み寄る
  聖化の実主に従順の成果のみ
  「主に従順」という成果は、「のみ」ではなく、イエスにある成果の「すべて」を包含するものではないのでしょうか?
  七転び八起のダルマ ペテロ似か
  防災日先ず真のいのち持ち
  これもすごく重要なことを詠んでいる気がします。
  敵愛せ敵はいて良いほっとした
川柳ひろば管理人

森川博己

◆「川柳ひろば」の投稿先:
   日本福音ルーテル社団(JELA)「川柳ひろば」係
   住所:150-0013 渋谷区恵比寿1-20-26 
   FAX:03-3447-1523
   E-mail: jela@jela.or.jp 皆様のご応募をお待ちしています。

【関連リンク】

2014年12月8日月曜日

「川柳ひろば」第2回入選作が決まりました

295句余り届いた中から以下の句が選ばれました(選者=柏木哲夫先生)。おめでとうございます。作者には、星野富弘詩画はがきセットをお送りしました。

◎最優秀作
 ガム買って万札崩し献金す(中村桂子)

○佳作(3点)
 住職におもちゃ売り場で会ったイブ(トライ明日論)
 カレンダーだけはスリムな十二月(相模秋茜)
 イエスだよ!赤子のわが子 役もらい(真D)

※発表は「ジェラニュース35号」の8頁にも掲載しています。

次回発表は4月です。テーマ自由。春にちなんだもの、キリスト教に関するもの大歓迎。未発表作品を随時JELAまでお送りください。皆様のご応募をお待ちしています。

最後にビッグニュース。 
つい最近、川柳ひろば管理人の独断で二つの賞を新設しました! 「シルバーエイジ初投句賞」と「年間最多投句賞」です。前者は投句時点で満年齢が70歳以上の方に一度だけ、後者はその年の1~12月の合計投句数が最も多かった方に何度でも、差し上げます。

この二つの賞は2014年にお受けした分から授与することとし、該当者には、近日中に「表彰状」と(投句に役立つ)景品をお送りします。事務局との連絡の際に年齢を明らかにされなかった方で、上記に該当している方は、お申し出ください。数名のシルバーエイジ投句者の存在をこちらでは把握しております。

以上(川柳ひろば管理人・森川博己)


◆「川柳ひろば」の投稿先:
   日本福音ルーテル社団(JELA)「川柳ひろば」係
   住所:150-0013 渋谷区恵比寿1-20-26 
   FAX:03-3447-1523
   E-mail: jela@jela.or.jp 皆様のご応募をお待ちしています。

【関連リンク】

2014年11月5日水曜日

第3回川柳ひろばへの投句を受付中

10月末日で第2川柳ひろば作品受付を終了しました。受付総数は295句。第1回の倍を大きく上まわります。入選句の発表は、ジェラニュース次号(12月発行)とホームページニュースブログで行います。

111日以降に届いた分は第3回分としてお受けします。こちらの締め切りは20152月末日。テーマは自由ですが、入選発表時期が4月なので、春にちなんだものも良いかもしれません。キリストの福音に関するものは常時歓迎です。

皆さんの作句に役立つ情報として、山本克夫著『楽しく始める川柳』(金園社、1998年)から一部をご紹介します。類書の中でも目配りのきいた好著です。コメント部分は本の記述内容をベースに管理人がアレンジして書いています。

〇 「明確な表現にする」の項から
  血眼で家探してる鍵ひとつ → 血眼で家中探す鍵ひとつ
   左だと探しているのが一瞬、家のようにも思える。右のようにすると内容が安定。
  旅好きの妻の年金忙しい → 旅好きな妻へ年金役に立ち
   左だと、「忙しい」が何のことか不明瞭。

〇 「必然性のある句語を使う」の項から
  ささやかな庭を満喫するつつじ
 「つつじ」は「ダリア」など他の花でも入れ替え可能。その点で訴える力が弱くなる。
  法事すみビールの旨さ駆けめぐる
 「ビールの旨さ」を感じるのは法事の後に限らないため、句としての力が弱くなる。

〇 「月並みな表現とは」の項から
  バーゲンにつられて無駄な物を買い
  国民は年末ジャンボで夢を買い
 いずれも、事実をそのまま言ったにすぎず、陳腐。常識の範囲を出ていない。エスプリを利かすには、見る角度を変えたり(逆転させたり)、言葉をもうひと捻りしてみる工夫が大事。

〇 「子どもの俳句は川柳でもある」の項から
伊藤園が主催する「おーいお茶新俳句」の少年少女の入選作が紹介してあります。季語や切れ字がなく、俳句というより川柳ですが、自分を率直に表現していて、なかなかの出来だと思いませんか。小林美咲さんの作品なんか、ファンタジーにあふれています。

  しんぞうがぼくよりさきに走ってる(奥田光徳・10歳)
  部屋じゅうのかべで野茂が投げている(松田悠史・10歳)
  かるたとりもぐらたたきになっている(堀上友実・7歳)
  一どだけ入ってみたい本の中(小林美咲・9歳)
  フランスパン耳がないから核実験(渡辺あい・17歳)
  はつもうで五円で百の願い事(大池麻希・13歳)
  布団ごと学校行きたい寒い朝(横山明香・12歳)

伊藤園に問い合わせて、入選句を全部見たくなってきました。

以上

川柳ひろば管理人(森川博己)


◆「川柳ひろば」の投稿先:
   日本福音ルーテル社団(JELA)「川柳ひろば」係
   住所:150-0013 渋谷区恵比寿1-20-26 
   FAX:03-3447-1523
   E-mail: jela@jela.or.jp 皆様のご応募をお待ちしています。

【関連リンク】

2014年10月22日水曜日

第2回川柳ひろば もうすぐ締め切りです

2川柳ひろばの投句締め切りは1031日です(当日の消印有効)。現在280句近く届いています。この中から秀句を選び、ジェラニュース次号(12月発行)に掲載します。ホームページのニュースブログでも発表します。投句、まだ間に合います。

111日以降に届いたものは、第3回分としてお受けします。テーマは自由ですが、発表が4月なので、春の行事なども良いかもしれません。キリスト教関連の句も大歓迎です。

作句に役立つ情報として今回は、2千名近い現代川柳作家の作品が千テーマで5千句以上掲載されている『新現代川柳必携』(田口麦彦編、2014年、三省堂)から、いくつかご紹介します。おもしろそうなテーマからのつまみ食いです。なお、コメントは管理人です。

愛された記憶愛してよみがえる(岩崎眞里子)
「愛された」ことを思い返して味わう人が存在するためには、私やあなたが「愛する」人になることが必要です。イエスの「あなたの隣人を愛しなさい」が思い出されます。

何億の中に出逢った君と住む(依田秀子)
いま一緒にいる相手との出会いは、ある意味で奇蹟です。「何億」というひと言に、大いなるものへの感謝が感じられます。

あの人が笑った小さな風吹いた(芳賀博子)
恋愛時代を思い出します。いつまでも互いにこうでありたいものです。あなたの周りはどうでしょう。日々、小さな風が吹いてますか。

さよならにさよならと言うあたたかさ(大嶋信次)
「さよなら」は「おはよう」に置き換え可能ですが、別れの言葉に温かさを見出すところがミソなのかもしれません。ひらがながおおいと、やわらかさをかんじますね。

ゆくゆくは優しい人になるつもり(竹内ゆみこ)
このご恩決して忘れない つもり(高瀬霜石)
「つもり」で終わるとおどけた味わいがでますね。「忘れない」と「つもり」にスペースがあるのは原文通りです。続けて書いた場合と何が違うのか、研究の余地ありそうです。

しあわせになるはずだった定年後(高瀬霜石)
しあわせは家の茶の間にありました(豊野光子)
私のオアシスそれはあなたです(平井 都)
オアシスになってあなたの帰り待つ(香川 大)
高瀬さんの「しあわせ」が何を指すのか不明ですが、他の3人はそれを家庭の温もり、つれあいとの関係に置いているようです。オアシスを相手に求めないで、自分がオアシスになろうとする香川さんの姿勢に教えられます。

騙されて上げると母の目が笑う(伊達郁夫)
ごめんねと言えば笑顔になれるのに(豊野光子)
愛情表現とプライドの関係を異なる視点から取り上げていて、どちらもよくわかります。

以上
川柳ひろば管理人(森川博己)



◆「川柳ひろば」の投稿先:
   日本福音ルーテル社団(JELA)「川柳ひろば」係
   住所:150-0013 渋谷区恵比寿1-20-26 
   FAX:03-3447-1523
   E-mail: jela@jela.or.jp 皆様のご応募をお待ちしています。

【関連リンク】