新教新書に『神を讃う キリスト教俳句の世界』(新堀邦司著、1999年)という一冊があります。日本基督教団富士見町教会の牧師だった島村亀鶴師、「降る雪や明治は遠くなりにけり」で有名な中村草田男(カトリック信徒)など、俳句に通じた十数名のクリスチャンの経歴と自作句などを紹介した小さな本です。
この中から、ハンセン病とたたかいつつ両手の自由を失い、足を切断され、失明し、さらには全身の知覚まで奪われながらもキリスト信者として歩んだ玉木愛子の作品をご紹介します。(川柳ひろば管理人・森川博己)
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- かえりみて豊かに病めり走馬燈
- 木枯や神の律法(おきて)にゐて安し
- 生涯を打たれうたれて砧盤
(注)砧盤(きぬたばん)は春の季語で、麻などで織った布を打ち叩いて柔らかくし、つやを出すために用いた木の台のこと。 - 唇にさぐりて小さき桜貝
- 祈ること怒涛のごとし去年(こぞ)今年
- 一冊の聖書がいのち冬ごもり
- 恩寵や常闇の身に梅ぬくし
- よそ目には不幸に見ゆれ水中花
- わが体操リズムに乗らず山笑ふ
- 毛蟲匍(は)えり蝶と化(な)る日を夢見つつ
- 天命に謝しねむりたく銀河濃し
- 目をささげ手足をささげ降誕祭
- 揚雲雀(あげひばり)めしひに架かる天の階(はし)
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