「2011年5月と11月に行われた2回の授業。津波で家族を、家を、故郷の景色を失った生徒たちが、季語にこだわらず、五七五に心の内を織り込ん」(前掲書15頁)で出来上がったのは次のような作品(本に取り上げられた中のごく一部)です。
今伝える今まで本当にありがとう
いつだって道のタンポポ負けてない
一人ずつ自分の笑顔とりもどす
いつも思う夜の星見て明日も良い日
春風が背中を押してふいていく
あの時から一日を大事に過ごす日々
見たことない女川町を受けとめる
今すぐに夢へと僕は走り出す
ただいまと聞きたい声が聞こえない
逢いたくてでも会えなくて逢いたくて
つらい日があったからこそ今がある
見上げればガレキの上にこいのぼり
編者の小野智美さんは朝日新聞仙台総局の記者。女川一中の生徒やその家族、俳句授業を担当した教諭などと親しく交流し、句が出来上がる背景、句に込められた生徒の心情と、作品を目にした親の思いなどを、細やかで愛情ゆたかな文章で綴ります。
「女川町では東日本大震災の津波で町人口の一割近い人々が犠牲になった。その割合は岩手、宮城、福島の東北三県の被災市町村の中で最も大きい。町に住んでいた10,016人のうち827人が死亡・行方不明となった。」(前掲書83頁)
句を詠むまでの心の動きや背景情報に触れるとき、一つひとつの作品の重みが伝わってきます。ちなみに、学校に俳句作りを提案した山中勉さんは『みあげればがれきの上にこいのぼり…―地球人の交換日記〈1〉 (地球人の交換日記 1) 』(日本宇宙フォーラム、2012年)という本を書いておられます。
川柳ひろば管理人
森川博己
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