2015年7月6日月曜日

『続・番傘川柳一万句集』から

続・類題別・番傘川柳一万句集』(磯野いさむ監修、番傘川柳本社編、創元社刊、1983年)を読んでいる。編集している番傘川柳本社は、前身の関西川柳社が1909年に設立されているので百年を超す川柳交流組織の老舗。現在も川柳誌『番傘』を毎月発行している。昭和38年に『番傘』75周年事業として正編の一万句集を発行し、以後20年間の投句から秀句を厳選したのが続編である。ちなみに1909年はJELAの創立年でもある。

現代川柳六大家の一人に岸本水府がいるが(1965年没)、彼は番傘川柳本社や『番傘』の発展に多大な貢献をした人物。川柳作家にしてコピーライターでもあり、グリコの広報部長を務めてジャンケン「グリコ」を発案し、有名な「一粒で300メートル」というコピーも彼の作らしい。六大家の中では人物として突出していたようで、田辺聖子が彼の評伝『道頓堀の雨に別れて以来なり』(中公文庫から三分冊で出ている)を著し、読売文学賞と泉鏡花文学賞に輝いている。

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さて、水府の息がかかった句が集まっていると思われる『続・類題別・番傘川柳一万句集』から、私(川柳ひろば管理人・森川博己)の感性に合う作品をいくつか紹介する(作句者名省略)。最初から五分の一程度、つまり二千句を読んで、特に心にとまった作品である。こういったものが好みの方は、オリジナルをご購入あれ。

・葛藤を包んで地球自転する
・あまりにも月がきれいで言えぬ嘘
・気象庁所によりとうまく逃げ
・まっ白い雪が降るから救われる
・地震予知台風並みにならないか
・時計はずして自分の時とする
・初恋の人から賀状書きはじめ
・一年中父の日ですと母が言う
・罪犯すように募金の箱を過ぎ
・阿弥陀はんインド人かと聞く老婆
・予備校は悲しい顔にビラをくれ
・宿題を忘れたせいを母にする
・参観日できる子の親よくしゃべり
・辛抱をするなするなとコマーシャル
・ピカソではないから丸が丸に見え
・口笛を吹いても音痴さとられる
・レストランめし屋屋台と恋進む
・好きな娘(こ)がいるからみんなで撮ってやり
・初恋のひとの一字をペンネーム

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