2015年6月11日木曜日

異文化交流川柳カルタ(さしすせそ)

作句とコメントは羊野さんぽさん。今回から川柳ひろば管理人(森川博己)が一部コメントを付します。 
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「エルサレム、園の墓敷地内で。
プレートに、ヨハネ812a
サ)最大の異文化交流 神と人
 ⇒ 異文化交流のテーマで、ふと思い浮かんだ句です。
異文化と言うよりは御子イエスによる驚くばかりの異次元交流。
神の御心と十字架の御わざを覚えると、私は心の奥底からじんわりとあつい思いになります。
*管理人コメント:この句は視点が新鮮で、心に響きます。






シ)神前で誓うふたりの神は誰?
⇒ キリスト・イエスを信じる以前、結婚式の巫女アルバイトを数回したことがあります。三々九度は八百万の神々に対してでしょうか。
人を男と女とに創造された、唯一の神の御前における婚姻スタートは幸いです。聖書に啓示された神は、永遠かつ真の愛そのものであり、すべての祝福の基ゆえ。

「停泊中のクィーンエリザベス2
ス)スーベニア買い方に出るお国柄
 ⇒ 南半球の夏に、豪華客船も停泊する港が目と鼻の先にある、こじんまりしたス-べニア(お土産物)店でアルバイトした時のこと。
お薦めするままに店の最高値品を含む宝飾品を即買いしたのは見るからに中東の人。欧米の人は観光土産用スプーンを集める人が多く、日本からの観光客にだけ同じ商品をいくつも個別に念入りな包装でと、求められました。



セ)「節水よ」泡が消えれば皿使う
⇒ 湯で泡立てた洗剤のシンクで洗って立て掛けておけば、泡はすべり落ちるしすぐに消える。
ホストマザーと一緒に食器を洗いながら教えてもらいました。なるほどそういうものかと、そのまま食器を使い続けていて誰も身体の不調は覚えませんでしたけれど…。今思えば、熱湯を使うからなのか、オセアニアの洗剤は良質なのか?
*管理人コメント:ワイフの両親の家(在デンバー)を訪問したとき、グラスがピカピカでなかったので、使う前に水で洗おうとしたことがあります。両親がいないところでワイフから「アメリカでは人の家の食器の汚れを気にするのはものすごく失礼なのよ」と手厳しく叱られました。

ソ)掃除の手 基礎体力と誇り得る
⇒ 説明が必要な句ですよね。私が滞在した国の公立学校では、各担当教師の教室へ移動するためだと思いますが、児童・生徒が掃除をする慣習はありませんでした。また、テレビでこんな話題を観ました。日本の小学生が教室は自分たちで掃除するのを知り、それを近年、自国(中東だったか)の小学校に取り入れて好評を博しているそうです。
自分の小学生当時を顧みると、廊下や体育館の雑巾掛けなどでは足腰も鍛えられ、教室内の掃除では備品を大事にする意識などが自然に育まれていたような気がします。そんなこんなを詠んでみました。

◆◇◆

◆「川柳ひろば」の投稿先:
   日本福音ルーテル社団(JELA)「川柳ひろば」係
   住所:150-0013 渋谷区恵比寿1-20-26 
   FAX:03-3447-1523
   E-mail: jela@jela.or.jp 皆様のご応募をお待ちしています。

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2015年5月26日火曜日

多文化共生川柳カルタ(かきくけこ)

名古屋で多文化共生に関わる仕事や活動をしている詠み人集団・尾張小町による多文化共生カルタの「かきくけこ」編が届きました。今回のメンバーは北奥順子、近藤公彦、近藤淳宗、柴田睦美、人見泰弘、松田薫の皆さんで、以下の句・コメントは六人の共作です。

詠み手の誰かを川柳や百人一首の登場人物に重ねてイラスト化した作品も送ってくださいました。描き手は尾張小町のメンバー。本カルタ制作のリーダー格である人見泰弘さんを芭蕉のイメージで描いたそうです。

それでは、作品です。

カ 風邪ひいた病院行っても通じない
外国人が日本人の医療スタッフに病気や症状を伝え、かつ治療法を聞き取ることは簡単で
はありません。間違うとたいへんです。そのため最近は、「医療通訳」という仕事が注目さ
れています。

キ きれいだな色とりどりの民族衣装
チャイナドレス、アオザイ、サリーなど、いろいろな衣装文化があります。みなさんも一緒に着てみませんか?

ク くりきんとんクリントンだと思ってた
テレビやラジオで日本語を聞き取ることは簡単ではありません。

ケ ケンタッキーKFCならわかるのに
同じ会社なのに、海外と日本で名称が違うと、みなさん戸惑われるそうです。
⇒(管理人コメント)日本の中でもありますね。大阪出身の私は困りませんが、アイスコーヒーが大阪では「冷コー(れいこー)」になります。アイスティーはそのままだったような……。

コ こみ上げる だけど国には帰れない
異国で生活すれば、毎日ストレスを感じてしまいます。帰りたい、でも仕送りして、国に残してきた家族や子どもを支えなくてはならない。そう思って必死に働いている人々がいます。


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2015年5月18日月曜日

【川柳ひろば】異文化交流川柳カルタ(カ行)

ア行と同様、作句・コメントともに羊野さんぽさんによります。

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カ)環境も文化も人の友みたい
⇒ 豊かな自然環境と相まって、大らかさを感じた家庭滞在を思い出します。国内外問わず、季節や地域特有の文化的行事に囲まれて国民性は育まれるのでしょうか。
メープルシロップを採取しているカエデの木
メープルシロップを採取しているカエデの木

キ)着慣れない和服に照れる化粧顔
⇒ 海外で着付けや振袖の価格を紹介したとき、一人で着るには練習が必要な複雑さや美術品のごとき高値など、日本では和服が一般的ではなくなっている現状に驚かれました。


ク)車社会買い足す服はLサイズ
⇒ スティ先のご両親の通勤はもちろん、子の外出時の送迎も、すぐそこでの買い物も車、登下校はスクールバス……、そんな車必須の地域ではいつも太りました。食事内容の違い以上に、それまでよりも極端に、歩く必要がなくなったせいかもしれません。

南半球の山の風景
南半球の山の風景
ケ)景色見てホームシックは帰国後も
⇒ 大自然が持つ治癒力には創造主の存在を覚えます。帰国後、空が狭くて人の多い近景ばかりの家で、逆ホームシックにもなりました。

コ)声響き温もるチャペル招く神
⇒ 賛美の声、説教の声、交わりの声……ホストファミリーと明るい教会に足を運んだことは、人間本来の霊的(スピリチュアル)な面においても異文化体験の始まりでした。


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2015年5月7日木曜日

【川柳ひろば】NHKテレビ『団塊スタイル』が川柳特集

金曜夜のEテレ(NHK教育テレビ)『団塊スタイル』が5月1日に「川柳で不満を吹き飛ばせ!」と題する川柳特集をしました。

熟年の方々が川柳教室で楽しく語らう様子や、川柳を介した普段は見られない夫婦の親密なコミュニケーション、あるいは作句が脳に与える好影響(頭の働き低下の予防、認知症予防につながる可能性がある)を示す脳神経科学的実験など、盛りだくさんの内容でした。

『団塊スタイル』なので、登場した川柳も次のようなものがほとんど。
  • エプロンが化粧まわしに見えてきた
  • 夫婦仲波風あったが自然治癒
  • じいちゃんのお棺に入れる肩もみ券
  • ガガよりもハデだぞウチのレディババ
  • 老人会「振り込め来たか」がご挨拶
  • つまずいた昔は恋でいま段差
  • カーナビをかーちゃんナビが制圧し
  • 六十路過ぎ妻が好きだとやっと言え
番組には川柳選者として著名な漫画家・やくみつる氏と川柳講師・島田駱舟氏がゲスト出演。司会の二人(国井雅比古アナと女優の風吹ジュン)と一緒に穴埋め作句にも挑戦していました。例えば、

「世の中がどう変わろうと(     )」
→ 世の中がどう変わろうとケセラセラ
   世の中がどう変わろうと腹は減る
   世の中がどう変わろうといい湯だな  等々

上5の「世の中が」という大上段に振りかぶった語彙に対比させ、下5に「腹が減る」とか「いい湯だな」など、日常的で些末な語彙を付けると、アンバランスな面白味が出る、という有益なアドバイスがありました。

静岡県熱海市では町おこしのために市内の商店や駅などに投句箱を置いて、ラブレター川柳を募っているそうです。投句分から次の2作品が紹介されました。
  • 思い出す愛を誓ったサンビーチ
  • 温泉で二人の過去をかけ流し
川柳が上達する三つのポイントにも触れていました。川柳ひろばの皆さん、参考にしてください。
  1. 秀句を真似る。
     
    先人の作品を真似して作ってみることで、意外な切り口・視点を学ぶ。
  2.    たくさん作る。一つのテーマ(例えば「新幹線」)についてさまざまな角度から、異なる作品をたくさん詠んでみる。
  3.    比喩を身につける。 誰もが言うありきたりの比喩ではなく、作者独自のユニークな比喩を考案して句に盛り込む。
作句を末長く続ける手立てとしては、時事川柳を詠む効用が説かれました。満月から、かぐや姫を想像するなら、さらに大塚家具の親子紛争も絡めるなどなど、世の中の動きに注目すると作句のヒントはいくらでも得られるという具合です。

最後に川柳ひろば管理人からの助言。あまり考えすぎずにどんどん作って投句してください、これに尽きると思います。そのうちにコツはつかめますので

川柳ひろば管理人
森川博己


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2015年4月27日月曜日

【川柳ひろば】難民支援川柳カルタ(なにぬねの)

お待ちかねの難民支援川柳カルタ5月の連休を前にして、一足先に「なにぬねの」が届きました。作句は石川えりさん(認定NPO法人難民支援協会<JAR代表理事)、コメントは石川さんと森川博己(川柳ひろば管理人)の共作です。

◇◆◇

な=難民という名の人はいないはず
 ふだん何気なく使っている「難民」ですが、漢字の意味するところは「難しい人」。英語はrefugeeなので「拒絶された人」となります。いかめしく冷たい、自分だったら呼ばれたくない呼称ではありませんか。もっと心のこもった表現に変えられないものでしょうか。

に=人間を扱う言葉で「件数」か?
 法務省入国管理局発行の『出入国管理』を眺めると、在留資格ごとの出身地別新規入国者を表す際などは「~人」が用いられる一方、難民認定申請の受理状況や、難民性を判断するための口頭審理の処理状況を示す際は「~件」が用いられます。後者は一人について複数回の処理があるためとも想像されますが、それなら「のべ~人」という言葉があります。「難民」と同様、用語には対象に対する配慮、気持ちが反映されるということでしょうか。

ぬ=ぬれた床トイレを風呂の代わりとす
 何のことかわかりませんね。JARの事務所で実際にあった話ですが、ホームレス状態でシャワーが浴びられない難民申請者が、シャワー代わりにJARの狭いトイレで顔を洗い、濡れタオルで体をふいて、床をびしょびしょにしてしまう状況を詠んだものです。
難民支援協会では写真のような形で
少しでも心地よく寝ていただける配慮を
するのですが、複数の方が使用できないため、
混んでいる際は、相談室を一室開放し、
床に寝ていただくこともあります。




ね=寝る場所は事務所にないため床の上
 JAR事務所には一時休息用のベッドはありません。椅子の数も限られています。このため、相談に訪れた難民申請者で睡眠不足の方は、事務所の床でひと眠りされることもあります。






の=残る人とても気遣い仮放免
入国管理局などに収容されている難民申請者で「逃亡の恐れがない/保証金を出してくれる身元保証人がいる/収容所を出た後に住む家が決まっている」という条件を満たす場合、仮放免が認められます。普通の家で寝起きできるようになるので嬉しいはずです。しかし、一緒に収容所暮らしをしていた人に対しては、自分だけがよい環境に移れる後ろめたさも感じるようです。大勢の申請者がこんな気遣いなしに普通に生活できる公的アパートや住居を確保しているのが理想で、日本の現状はまったく不十分です。

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2015年4月24日金曜日

【川柳ひろば】異文化交流川柳カルタが届きました

難民支援多文化共生につづき、異文化交流の川柳カルタが届きました。作句者は羊野さんぽ(柳名)さんです。

今回はア行の5句をお届けし、以後毎月一行分ずつ掲載します。なお、コメントも作句者本人です。

◇◆◇

ア)挨拶のハグぎこちないホームスティ
⇒ 初ホストファミリーとの挨拶で、手の置き場に困り、うろたえました。今の日本では違和感を覚える人は少ないかもしれませんね。

イ)意識せず国の印象受け与え
⇒ 初めて接する異国人は、その国の印象として残りやすい。あの人にとっての日本=自分の言動かもしれず、私にとってあの人々の立居振舞=あの国の印象の初め…です。

ウ)海と山越えて時差知る季節知る
⇒ 北半球から南半球へ移動して夏のない一年を過ごすことになったり、東西へ地球半周分移動して一日分消えたり増えたり。

エ)笑顔なら心も口も解き放つ
⇒ 歓迎には色々な仕草を伴う国もあるようですが、ほほえんだ表情さえあれば嬉しいものです。

オ)お世辞なく認めほめ合い自国知る
⇒ 外国から日本の特長をほめてもらうテレビ番組や書籍類が増えました。ほめごろしは困りますが、互いの国のいい面を認め合うのは気持ちがいいですね。

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