2015年1月26日付の川柳ひろばの記事の中で、今川乱魚さんの著作からこの方が考えるユーモア川柳の十要素をご紹介しました。最近、乱魚さん監修の『ユーモア川柳傑作大事典』(新葉館出版、2007年)が手に入りました。『川柳マガジン』という川柳総合誌の「笑いのある川柳」欄に投句された5万句から約3千3百句を厳選して項目別に記したものだそうです。
以下はその中で、管理人である私が特におもしろいと感じた作品です。分類も私が勝手に行い、それに共通する題をつけました。「なんか変」「とぼけた味」という題はあいまいで、そのように感じる要因を導きだして分けるべきでしょうが、適切な言葉が浮かばないため、今回はこの形でご容赦ください。
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<プライド・追従・羞恥心>
・ 一理ある妻の助言に腹が立ち(河合笑迷・新潟)
・ 値切ってる妻の隣で他人顔(中村忠夫・長崎)
・ 点数が出るカラオケは歌わない(田辺進水・愛媛)
・ 賞状がすべて客間に貼ってある(藤原鬼桜・鳥取)
・ 来賓の洒落に主催者だけ笑う(田村常三郎・秋田)
・ あれほどに嫌ったギャル語ポロリ出る(荻田飛遊夢・静岡)
・ 故障だと呼んで預金がゼロでした(木村ひで子・岡山)
<よくありそうなことで、少し悔しいおもいがしたり、困ったと感じられる>
・ 年金が溜まった頃に孫がくる(櫻田宏・埼玉)
・ 保証書をなくした頃に故障する(川村安宏・茨城)
・ 流行歌覚えた唄はすたれてる(佐藤頼昭・神奈川)
・ 諦めて買うと出てくる探し物(岩渕不弁・静岡)
・ 風邪引いた朝はティッシュをもらえない(二宮茂男・神奈川)
・ お洒落して出ると誰にも出会わない(岩津洋子・大阪)
・ 観るだけの有馬記念はよく当たる(星野四郎・大阪)
・ バス待たず歩き始めて追い抜かれ(木内閑跳・千葉)
・ 出せば来ぬ出さねば届く年賀状(菅原良雄・宮城)
・ コンサート自腹の客は眠らない(柏屋敏秋・山形)
・ 松茸の横のしいたけよく売れる(池田愛子・香川)
<人間批評>
・ 山道で逢うとあいさつする娘(向井清・大阪)
・ 茶髪ダメ大人はいいの白髪染め(久保田淳子・神奈川)
・ 親しげに握手しながら目は次へ(岡本夢川・群馬)
・ 補聴器を外せば妻の愚痴が止む(槙田英詩・広島)
・ 満員バスくしゃみひとつで隙間でき(久米穂酒・大阪)
・ 意見まだありそうなので議事閉じる(大島三平・新潟)
・ ままごとのママがお出かけばかりする(山倉洋子・新潟)
<発見・なんか変>
・ 理容所の棚で見かけた傷薬(田鎖晴天・青森)
・ 愛してる方がなんでも我慢する(岡村廣司・静岡)
・ 孝行をしたい親には金がある(福井おさむ・香川)
・ お洒落ですパンチパーマの仏さま(川津清人・群馬)
・ 女編考えたのは男だな(川上富湖・和歌山)
<天邪鬼・とぼけた味>
・ ウインクを監視カメラにして帰る(南川光男・東京)
・ 酔うてはる水増しておく酒の燗(二村静子・大阪)
・ 自画像の髪は多目に画いておき(須崎八郎・東京)
・ ひまわりに太陽電池とり付ける(尾崎呂谷・高知)
・ 大安日選んで離婚印を押す(高橋正兵・北海道)
・ 熱心に口説く割にはケチである(藤原鬼桜・鳥取)
・ ヒゲ剃っても顔を合わすは妻一人(石黒初蔵・熊本)
・ 父植毛娘は脱毛という平和(橋本利平・福島)
・ 掴み取りで広げた指が戻らない(高城じゅんこ・大阪)
・ 上品に泳ぐと溺れそうになる(松尾冬彦・神奈川)
・ 医者の言うよくないものがみんな好き(嶋田善夫・兵庫)
・ 人間ドック損したような異状なし(首藤俊夫(栃木)
・ 再婚届用紙の隅に再生紙(佐藤竜夫・青森)
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川柳ひろば管理人
森川博己
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